不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディング、どちらを選ぼうか迷っている方も多いのではないでしょうか?確かにこれら2つは似ている投資商品ですが大きな違いがいくつもあります。この記事では各投資手法のメリットやリスクについて詳しく解説しています。
下表に沿って説明していくので気になる箇所から読んでみてください。
比較項目 | 不動産クラウドファンディング | ソーシャル レンディング |
利回り | 3.0〜10% | 6.0%〜 |
担保の有無 | あり | 基本あり |
担保の保有権 | あり | なし |
情報開示 | 可能 | 難しい |
共同出資 | あり | 基本なし |
リスク評価 | 出来る | 難しい |
本記事ではリスクがより低い不動産クラウドファンディングをおすすめしています
それぞれの仕組みはどう違う?
前提として、ソーシャルレンディングも不動産クラウドファンディングもクラウドファンディングの一種です。ソーシャルレンディングを融資型クラウドファンディングと言うこともあります。
大きな違いは投資家から集めた資金で何を行うかです。
不動産クラウドファンディングとは?
不動産クラウドファンディングでは、名前の通り、投資家から募った資金で不動産を購入し、得られた利益を投資家に分配します。
利益の源泉としては不動産の賃貸料や売却益が挙げられます。つまり、売却額が想定と異なる場合は利回りが変化することがあります。
また、不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法に則って運営権されています。
不動産クラウドファンディングに関する詳細な説明はこちらの記事をご参照ください
ソーシャルレンディングとは?
ソーシャルレンディングでは投資家から募った資金を融資が必要な事業者に貸し出して得られた貸付利子を投資家に分配します。
得られる利益は貸付利子によるものです。貸付利子は契約時に決定されるものなので基本的に利回りが変化することはありません。
また、ソーシャルレンディングは賃金業登録された事業者が運営しています。
違いはどこにあるの?
大きな違いはクラウドファンディングの事業者が投資対象(資産)を保有又は運営しているかどうかです。以下では、保有又は運営の有無でどのような違いがでるかを解説します。
担保の有無について
不動産クラウドファンディングでは、事業者が購入した不動産を保有しており、この不動産が担保になります。つまり、不動産の価値がゼロとならない限り投資家の元本がゼロになることはありません。
ソーシャルレンディングでは、例え、担保が設定されていたとしても、その保有権はソーシャルレンディングの事業者ではなく、融資を受けた事業者にあります。
つまり、有事の際にソーシャルレンディング事業者が担保を差し押さえるとしても、時間とお金が多大にかかり、投資家の元に資金が返還されるまでにラグがあると推測されます。
また、担保が設定されていないようなハイリスクな商品もありますが、決して投資を推奨できる商品ではありません。
融資先の運営権/資金用途について
ソーシャルレンディングでは、融資先の事業者をソーシャルレンディング事業者が管理するのが非常に難しく、実際に融資がどのような用途で使用されているのか正確には把握できない場合が多いです。
ソーシャルレンディング事業者が管理できないのであれば、もちろん投資家は自分の身銭が融資先でどのように使われているのかを知ることができません。この情報の不透明性に起因する不祥事も起きています。
一方で、不動産クラウドファンディングは事業者が融資先となる不動産を保有・運営している為、資金(融資)の流れが明確に把握できます。
また、運営権を保有している為、いざという時には運用方法の変更という荒技も使用できます。実際、不動産クラウドファンディング大手CREALのホテル運営ファンドは、コロナ禍で大打撃を受けた後、ホテルからオフィスへと運用業態を変化させることで予定通りの配当を投資家に支払いました。
詳しくは住宅新報の「ホステルをオフィス転用でクラウドファンディング運用」をご参照ください。
素晴らしい対応力と投資家保護の姿勢です
情報開示について
融資の使用用途やその効果を把握することは投資のリスクを評価する上で最も重要なことと言えます。
しかしながら、ソーシャルレンディングでは事業者に融資先の運営権がない為、これらの情報を投資家が入手するには多数のハードルがあります。
不動産クラウドファンディングでは、事業者自身が融資先(不動産)を運営しているため、様々な情報が任意に開示できます。つまり、不動産クラウドファンディングはソーシャルレンディングに比べて情報の透明性が非常に高い投資手法といえます。
資金用途以外にも、不動産クラウドファンディングでは、投資前に投資先となる不動産の立地や状態などの詳細が開示されており、投資家自身がリスクを見極めやすい構造になっています。投資においては、自分で評価・決断できることが非常に重要なので、これは不動産クラウドファンディングの大きなメリットといえます。
実際は、各ファンドで開示している情報が異なるので、情報の開示に積極的なファンドを選んで投資するのがオススメです。
優先劣後構造について
不動産クラウドファンディングでは、事業者も出資額の10〜20%程度を出資する共同出資の体制をとることが多いです。この事業者の出資部分は劣後融資と言い、損失が生じた場合は投資家の元本を守るクッションのような働きをします。
優先劣後構造についてはこちらの記事もご参照ください。
ソーシャルレンディングでは、一般的に共同出資は行われません。不動産クラウドファンディングの方が投資家保護意識の強い商品といえます。
違いのまとめ
不動産クラウドファンディングはソーシャルレンディングと異なり融資先の運営・管理を行っているため、情報の透明性が高く、小回りが効くという利点があります。
投資家自身が投資先のリスクを吟味できる点も大きなメリットと言えるでしょう。
ソーシャルレンディングのメリットは?
ソーシャルレンディングは不動産クラウドファンディングに対して利回りが高いことがメリットです。
しかしながら、ソーシャルレンディングの利回りが高いということは資金需要者(融資を受ける方)からすれば金利が高いということになります。高い金利でも資金を必要としている事業者は決してリスクの低い投資先とは言えないでしょう。
ソーシャルレンディングはリスクを十分に考慮した上でチャレンジするべき投資商品です。
本記事のまとめ
本記事では不動産クラウドファンディングとソーシャルレンディングの比較を行いました。融資先の性質上、不動産クラウドファンディングがリスクをおさえた良い投資先であるといえます。
利回りの高いソーシャルレンディングにチャレンジする場合は投資額をおさえておくのが重要でしょう。
最後にもう一度、各手法の比較表でおさらいしましょう。
比較項目 | 不動産クラウドファンディング | ソーシャル レンディング |
利回り | 3.0〜10% | 6.0%〜 |
担保の有無 | あり | 基本あり |
担保の保有権 | あり | なし |
情報開示 | 可能 | 難しい |
共同出資 | あり | 基本なし |
リスク評価 | 投資家が出来る | 難しい |
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